生地の下処理・後処理

生地の下処理って必要ですか?

ほとんどの生地は、裁断する前に下処理が必要です。ウール・コットン・リネン・シルク・レーヨンなどにも下処理が必要です。

ウールはスポンジで湿らせ、コットンとリネンは水通しで縮める必要があります。シルクとレーヨンは、パターンを生地に重ねる前に、アイロンしてしわを取り除きます。

水通ししていない生地の場合、ウールは1mで5cmほど縮み、コットンとリネンは1mで2.5cm~7.5cmほど縮みますので、この収縮率を考慮して生地を長めに入手しましょう。

ウールの下処理

まず、生地耳を切り落とします。次に生地をテーブルの上に平らに広げます。

ベッドシーツ等を冷水でよく濡らしてしぼり、生地の上にできるだけスムーズに広げます。生地とシートを一緒に丸めて、数時間~一晩寝かせます。生地を広げながら、裏側からアイロンで押さえます。アイロンの際は当て布を添えてください。アイロンで完全に乾くまでプレスしてください。アイロンを1か所に長い間置きすぎると生地に跡が残ることがあるので、ゆっくりと前後に動かしながらプレスしてください。

生地の地の目方向にアイロンしてください。

生地を縦半分に折り、横糸が水平になるように生地端を合わせます。

コットン・リネンの水通し

白色の生地は、シワにならないように折り畳んでから、お湯か水に入れ、繊維が十分に浸るまで数時間放置します。

色のついた生地は必ず冷水に浸してください。水に浸した後、生地を絞りますが、強く絞りすぎてはいけません。おおよそ乾くまで物干し竿に吊るしたら、裏側にアイロンをかけます。

シルク・レーヨンの下処理

シルクやレーヨンは、水通しは必要ありませんが、アイロンでシワを取ります。ウールよりも低温のアイロンを当ててください。

シワになったシルクやレーヨン生地をプレスするには、折りたたんだトルコタオル(薄手のタオル)や柔らかいナプキンの上に生地を置きます。アイロンで生地の裏側を軽くプレスします。

刺繍生地

シルク・レーヨンと同様の方法でプレスします。

ベルベット・ビロードの後処理

ベルベットは制作途中に指の跡がつくことが多いので、スチームアイロンで毛足を立たせてこの跡を消してください。これにより生地の光沢も蘇ります。

スチームアイロンの際は、高温のアイロンを立たせた状態で使うと便利です。アイロンを湿らせたあて布で覆い、生地の裏側を蒸気の出ているあて布に軽くあて、通過させます。

メタリック布

メタリック生地はあまりアイロンをしませんが、使う場合は低温設定にしてください。生地が変色する恐れがあるため、あて布を湿らせないでください。

水通し済みのコットン・リネン生地

コットンやリネンが縮む問題を解決するために、科学的な収縮制御法が開発されました。この方法で完全に水通しが済んだ生地を販売するメーカーもあります。

国内(アメリカ)の生地販売店ならほぼどこでも、ボイル・ローン・バティステ・モスリン・ディミティ・ブロード・シアサッカー・ギンガム・綿シャンタン・クラッシュ・ピケ・ポプリン・スーツ・コバート・デニム・リネンなどをはじめとした、水通し済みの生地が幅広く販売されています。

水通し済みのコットンやリネンを購入すれば、家庭で水通しをする手間が省けますし、用尺も節約できますね。慎重に生地を買うのが得策です。

英語原文を見る

かんたん洋服づくり(Dressmaking Made Easy)の目次に戻る

パブリックドメインのソーイング文献をゆるめ翻訳しています。

パブリックドメインとは? 世界の多くの国では、ベルヌ条約および環太平洋パートナーシップ協定に基づき、作者の没後70年を過ぎた著作物はパブリックドメイン(著作権フリー)になります。著作権が消滅してパブリックドメインになった著作物は、社会全体の共有財産として自由に利用できます。本ブログでは、調査の上、著作権フリーであることが確認できた著作物、あるいは著作者の許可を得た文献のみを掲載または翻訳しています。
ゆるめ翻訳とは? 分かりやすくするために私の独断で修正している箇所があります(たとえば、タイトルをつけたり、英語に特有な過度な形容詞を省略したり等)。ソーイングの分野では、まだAI翻訳がまともに機能していません。ソーイングの経験のあるヒトの翻訳者だからこそお届けできる内容を伝えていきたいと考えています。
翻訳文の著作権 本ブログの日本語翻訳文には二次派生作品としての著作権が付随しています。転用・引用をご希望される際は、ぜひコンタクトフォームからご連絡ください。
スポンサーリンク
海外パターンを使ったお洋服作りを楽しんでいます!ぜひSNSでもフォローしてください!
PATTERN Liberation